短歌の話(2023年上半期)

・週末に歌壇賞と角川短歌賞のバックナンバーを図書館で読んだ。歌壇賞については、平岡直子や服部真里子、川野芽生を除いて、(自分の不勉強で)名前も作風も知らない人ばかりだったので、ああ〜こんな人たちがいるんだなあと勉強になった。印象に残ったのは帷子つらね『ハイドランジア』。こういういい作品をつくる人がちゃんと評価されるんだなとわかって、歌壇賞への信頼感がつよくなった。

 

・あと、平岡直子が受賞したときのバックナンバーも読んだけど、東直子が平岡の作品についてめちゃくちゃ解像度高く読み込めてて驚いた。東については、作風からふわふわした感じの人なのかな〜と思っていたから、自分の先入観がかなり覆された。もっと評論読みます。。

 

・今年の春〜夏にかけては本当にいろんな歌集を読んだ。わりと世間的な評価が定まっているものに多く触れられたのは収穫だったと思う。いい意味で視野が広がりました。以下、ここ最近で読んだ歌集です。

 

・石井僚一『死ぬほど好きだから死なねーよ』

小島なお『乱反射』『展開図』

黒瀬珂瀾『蓮喰い人の日記』『ひかりの針がうたう』

・大森静佳『カミーユ』『ヘクタール』

・堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』

・吉田恭大『光と私語』

・青松輝『4』

・藪内亮輔『海蛇と珊瑚』

・染野太朗『初恋』

・中澤系『uta0001.txt』

佐藤弓生『世界が海におおわれるまで』

穂村弘『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』

・佐クマサトシ『標準時』

・橋爪志保『地上絵』

・山崎聡子『青い舌』

 

上記のほかにも短歌総合誌とかで短歌のつまみ食いはしているので、そう考えると、この数ヶ月で結構自分のなかでの蓄積ができた気がする。ただ、蓄積してばかりでもしょうがないので、なんらかの形で発散はしていきたいと思う(秋の東京文フリで評の冊子は一つ出そうと思ってます)。

 

・上記も含めて、今年たぶん自分が一番ダメージを受けたのは、「外出」の3号に収録されている内山晶太「大観覧車」。これは本当に感動した。せっかくなのでよかった歌を2首引きます。

かぎりなき父親の死のひとつにてそのかぎりなさ星空に似る

死ぬことを少し教わるおびただしき落葉のおびただしき秋の葉脈

たぶんこれを超える歌に遭遇することって自分のなかでは当分ないんじゃないかと思う。『窓、その他』もそのうち読みたい。

 

・今後歌集を読みたい歌人については、永田紅、服部真里子、花山周子、東直子、佐藤りえ、大口玲子がいまぱっと思い浮かぶ。大口玲子については染野太朗がリスペクトしている歌人なので、今後かならず触れたいと思う。

 

・今年はNHKカルチャーセンターの平岡直子の講座とゆにここカルチャースクールの瀬戸夏子の講座も取って、アウトプットの機会もコンスタントに設けるようにはしていたけれど、しょうじきもっと歌会に出たい。とはいえ、結社に入るのもなあ。。と思っているので、参加者フリーの歌会がもっと開催されていてほしい。

 

・今年の秋の東京文フリに出ることはもう決めていて、それはそれで楽しみなんだけど、いま準備していて実感するのは、やっぱり一人でなにかやろうとしてもどうしてもできることに限界があるなあということ。なので、今後だれかと合同誌作るとかはかならず実現させたい。興味あるよーって方いたら歌歴とかはまったく問わないのでお声がけいただけると嬉しいです。。